Kathy's history
祖父が買ってくれた、1冊の本。
「ステラおばさんのアメリカンカントリーのお菓子」
この本を手にした小学生の私は、一瞬にして、その世界の虜になりました。その本には、アメリカ、ペンシルバニア州で今も電気や車を使わずに暮らしているという、アーミッシュと呼ばれる人々の生活が紹介されていて、その中で何よりも私を魅了したのは
アーミッシュの女性たちが焼いているパイやケーキ、クッキーでした。
それらはお誕生日だからとか特別なお祝いごとのためではなく、日常のこととして、当たり前のように暮らしの中に存在していました。その写真の中にあった全く飾り気のない焼き菓子たちは、説明を読まないと何ケーキなんだか分からないほど、どれも茶色で同じように見えました。小学生の私にとっては、それまでにあまり見たことのないめずらしいお菓子でしたが、なぜだか私はすっかり心を奪われてしまったのです。
まさに”ひとめぼれ”でした。
それからは、その本に載っていたレシピで何度も何度もお菓子を作り、私はどんどんアメリカンケーキに夢中になりました。不思議なことにいわゆる日本のケーキ屋さんによくあるようなスポンジケーキやクリーム、ムースで作られた美しいケーキには全く興味がわかず、大人になったらアメリカに行きたい!とずっと思い続けていたのです。
初めて訪れたアメリカは20歳の時。LA。それまでずっと、本で見ていたパイやケーキ、クッキー、ブラウニーがそこらじゅうのお店に売っていて大興奮!それから何度かアメリカの他の街へ行く機会もあり、数年前にはアーミッシュの人々が暮らす、ランカスターの街へも行くことができました。畑が広がる街の中を、本当に馬車が走っていました。
大学卒業を目前に「アメリカンケーキの仕事をしたいけど、どこへ行けばいいの?どうすればいいの??」と悩んだりもしましたが、運よく”アメリカンケーキ”のお店と出会い、そこで働かせてもらえることになり。そこから私の、仕事としての”アメリカンケーキ”が始まりました。
飽きっぽい性格の私が、唯一ずっと好きでいるもの、それがアメリカンケーキ。こういうのを天職って言うんでしょうかね~。今までたくさんのケーキを作り続けてきましたが、だんだん私は「作って売る」だけではなく、他の形で表現できないだろうかと考えるようになりました。そして、自分が大好きなアメリカンベイキングを”レッスン”することにしたのです。ただ、レッスンといっても私の教室は”教える”というよりは”楽しい時間をシェアする”というかんじ。なぜって、ちょっとしたポイントさえおさえれば特別な技術などなにも要らないからです。今や日本にだって和菓子以外のお菓子があふれていますから、アメリカにもいろんなお菓子があります。その中でこの教室でレッスンするのは、主に焼きっぱなしのお菓子。お家でママがちゃちゃっと作るおやつ、のような、とても家庭的なものです。だから誰にでも作れるのです。
評判のお店のお菓子や、行列に並んで食べたパンケーキ。いろんなお店に足を運んでおいしいものを見つけるのは楽しみのひとつ。
でも、手づくりには手づくりの良さがあります。作った人しか味わえない焼きたてのかおり、やわらかい食感。混ぜたり成形したり、作る過程も楽しいですし、家族や友人にふるまったり、ラッピングしてプレゼントしたり。それに、自分で作るということは、自分で材料を選べるということですから、使う粉やお砂糖にこだわってみたり、ドライフルーツやナッツを加えてアレンジしたり。何が入っているか自分で全部分かっていれば、安心して食べられます。
「自分の手でつくる」ということを楽しんでほしい。
それがKathy's Kitchenです。どんな教室やろ…Kathyてどんな人やろ…(日本人です)一人で参加しても大丈夫かな…など不安な方は、ぜひブログを見てみてくださいね。レッスンの様子や私が焼くお菓子について、アメリカ旅行記など、これから少しずつアップしていきます。