そのまたつづき

素敵なお店に出会えましたが

日本に帰る日は決まっていたので、

ここで働けたのは1週間だけでした。

もっと居れたら、きっともっといろいろな経験ができたんだろうなぁ、

みんなとももう少し仲良くなれたんだろうなぁ、、と思うと

とても残念でしたが。

 

ここのオーナーさんは、母親くらいの年齢の女性でした。

時々しかお店にいなかった(と思う)のですが、

私の最後の勤務の日には居て、

ちょうど私の仕事が終わって、もうすぐ帰るというころに

"ちょっとみんな、あっちの部屋に集まってちょうだい、急いで!”

と、

なにやら緊迫した様子でスタッフを集めました。

なんか問題が起きたのかな、、

そう思わせるような表情と口ぶりで、ドキドキしました。

みんなが集まると

オーナーさんが話し始めて

"みんな・・・"

 

”今日でケイの仕事体験が終わりです。” と。

(仕事体験、という言葉ではなかったですが、そのようなことを言ってました)

短い期間だったけど、

来てくれてありがとう、と言って

お店のロゴが入ったTシャツと、

厚さ4、5センチほどもあるレシピ本をくれました。

”この本は、どのレシピもすごくいいの。きっと役に立つから”と。

周りのみんなは拍手をしてくれて

いきなり訪ねてきた日本人を、笑顔で送り出してくれました。

 

実際、すべてのスタッフとすごく仲良くなったわけではなかったし、

オーナーさんの姿もあまり見ることはなく、

話す機会も、そう多くはありませんでした。

でも、

わたしを受け入れてくれて

最後に、”お菓子作りで聞きたいことがあったらいつでもメールしていいのよ”と

言ってくれました。

 

 

お店の立場で考えると

私を受け入れたからといって、得することは何もなかったと思います。

急に来た上に、たった1週間でしたから。

むしろ、説明をしたり、教えたり

普段の仕事にプラスα となるわけですから

面倒だと思います。

あの1週間、私が居てもいなくても、

お店としては特別変わったことは、なかったでしょう。

 

でも、私にとってはとてもとても貴重な経験で

8年たった今でも、こうしてあの時のことは割と鮮明に覚えています。

あのお仕事体験があるのとないのとでは

その後の私は違ったかもしれません。

違ったと思います。

どちらのお店のオーナーさんも、そのことをわかってくれていたのですね~。

 

4回にわたって書いてしまいましたが、、

書きながら、私にとっても

当時の気持ちを思い出す、いいきっかけとなりました。

こえからも、忘れずにいたいと思います!