Nagano log 4

"わざわざ" のオーナー、平田さんが言っていました。

”材料ひとつひとつにも強いこだわりを持って、厳選してパンを焼くと

そりゃあおいしいかもしれないけど、結果、ものすごく高い値段で売らなきゃいけなくなっちゃう。それは違うと思う。” と。

 

とても心に残る言葉でした。

なぜなら、

私も同じように思っていたから。

 

オーガニックという言葉も、最近は珍しくなくなってきました。

食べ物に限らず、いろいろな場面で耳にする言葉。

お菓子作りでもそうですが、

オーガニックの小麦粉、オーガニックの砂糖、オーガニックのナッツ、ドライフルーツ、チョコレート。

オーガニックでなくとも、どこかから取り寄せた材料だったり、

こだわろうと思えば、いくらでもこだわることはできますね。

でも、それが”お店"で販売するものだったら

そうです、売る値段を上げないと

利益にならない。

もちろん、こだわりぬいたその商品には

それだけのお金を払う価値があるんだと思いますが

平田さんがおっしゃりたいのは

”生活の一部であることの大切さ” だと思いました。

 

 

毎日食べたくなるパン。

わざわざのパンは、そんなパンでありたい、と。

 

その言葉通り、

ここのパンはとてもシンプルです。

種類も、2種類しかありません。食パンとカンパーニュ。

長野滞在中は、ほぼ毎日、私もこのパンを食べておりましたが

なんか飽きてきたわ~なんて気持ちには全くならなかったし、

それどころか、最終日にはたくさん買って帰りました。

京都に帰ってからも、しばらく食べれるように、と。

 

こんなにシンプルなのに

一度これを味わってしまうと

またすぐに食べたくて食べたくて仕方なくなっちゃいます。

これって、ある意味、究極だなぁ、、、と思いながら

毎日、石窯から出てくるパンたちを眺めていたし

それを食べれる賄いの時間は、とってもとっても楽しみでした!

 

私は、ずっとケーキの仕事をしてきましたが

ケーキなんか特に、パンよりももっと”し好品”的なものなので

毎日の生活に

無いなら無いでもよくて、

”お誕生日だから”とか”お友達の手土産に”とか

そういう、日常ではないシーンでの方が、よく登場します。

日常的にケーキを食べる、という人は

あまりいないと思うのです。

時々のお楽しみ、スペシャルなご褒美、的なお菓子もうれしいけれど

わたしが作りたいお菓子は、それだけじゃないんだよなぁ~

ちょっと違うんだよなぁ~。

そんな気持ちをずっと持っていました。

 

なので、平田さんのこの言葉には

深く、深く共感。

これからもきっと、私はアメリカンケーキの仕事を続けて行くと思いますが

どういう風にそれをやっていくか、

その携わり方は、いろいろあるはず。

”アメリカンケーキ”という、ただでさえ狭く、限定された道ではあるけれど

その仕事の在り方って、

さらに細かく、いくつもの道に分けられるなぁ~と

そんなことを思いました。