"わざわざ" のオーナー、平田さんが言っていました。
”材料ひとつひとつにも強いこだわりを持って、厳選してパンを焼くと
そりゃあおいしいかもしれないけど、結果、ものすごく高い値段で売らなきゃいけなくなっちゃう。それは違うと思う。” と。
とても心に残る言葉でした。
なぜなら、
私も同じように思っていたから。
オーガニックという言葉も、最近は珍しくなくなってきました。
食べ物に限らず、いろいろな場面で耳にする言葉。
お菓子作りでもそうですが、
オーガニックの小麦粉、オーガニックの砂糖、オーガニックのナッツ、ドライフルーツ、チョコレート。
オーガニックでなくとも、どこかから取り寄せた材料だったり、
こだわろうと思えば、いくらでもこだわることはできますね。
でも、それが”お店"で販売するものだったら
そうです、売る値段を上げないと
利益にならない。
もちろん、こだわりぬいたその商品には
それだけのお金を払う価値があるんだと思いますが
平田さんがおっしゃりたいのは
”生活の一部であることの大切さ” だと思いました。
毎日食べたくなるパン。
わざわざのパンは、そんなパンでありたい、と。
その言葉通り、
ここのパンはとてもシンプルです。
種類も、2種類しかありません。食パンとカンパーニュ。
長野滞在中は、ほぼ毎日、私もこのパンを食べておりましたが
なんか飽きてきたわ~なんて気持ちには全くならなかったし、
それどころか、最終日にはたくさん買って帰りました。
京都に帰ってからも、しばらく食べれるように、と。
こんなにシンプルなのに
一度これを味わってしまうと
またすぐに食べたくて食べたくて仕方なくなっちゃいます。
これって、ある意味、究極だなぁ、、、と思いながら
毎日、石窯から出てくるパンたちを眺めていたし
それを食べれる賄いの時間は、とってもとっても楽しみでした!
私は、ずっとケーキの仕事をしてきましたが
ケーキなんか特に、パンよりももっと”し好品”的なものなので
毎日の生活に
無いなら無いでもよくて、
”お誕生日だから”とか”お友達の手土産に”とか
そういう、日常ではないシーンでの方が、よく登場します。
日常的にケーキを食べる、という人は
あまりいないと思うのです。
時々のお楽しみ、スペシャルなご褒美、的なお菓子もうれしいけれど
わたしが作りたいお菓子は、それだけじゃないんだよなぁ~
ちょっと違うんだよなぁ~。
そんな気持ちをずっと持っていました。
なので、平田さんのこの言葉には
深く、深く共感。
これからもきっと、私はアメリカンケーキの仕事を続けて行くと思いますが
どういう風にそれをやっていくか、
その携わり方は、いろいろあるはず。
”アメリカンケーキ”という、ただでさえ狭く、限定された道ではあるけれど
その仕事の在り方って、
さらに細かく、いくつもの道に分けられるなぁ~と
そんなことを思いました。