その店のスタイル

先週、長野へ行ったとき

最終日の朝に、とあるカフェへ行きました。

Maru Cafe のレイ君が

”連れていきたいカフェがあるから、最後の日の朝ごはんはそこで食べよう。"

と、私が長野に来る前から言っていました。

そんなに素敵なカフェなのかと、

私もとっても楽しみにしていました。

着いたよ。

 

そこには、普通のお家、みたいな建物と

大きな鳥の巣をひっくり返したような石窯と

いい香りを漂わせている、小屋のような別室がありました。

 

車を降りると

コーヒーを焙煎している香りがしました。

そう、別室はコーヒーの焙煎所。自家焙煎珈琲なのです。

 

お店の中に入る前から

"あ、ここ、ぜったい素敵だ!おいしいに違いない!”と

わかりました。

なんか、そういうのってありません?

ピンとくるとか、逆にピンと来ないとか。

そのお店全体から放たれている空気というか、なんというか

うまく説明できないですが

そういうのってあると思います。

そういう”空気”がないお店ももちろんたくさんあると思いますが

そんな時は

あまり"入ってみよう"という気にならないもんです。

 

まぁでも、レイ君とマリさんがぜひ連れていきたいと言うお店なのですから

私が好きそうな感じなのでしょうね~。

店内も、予想通りとーーーっても素敵で

どこを見ても

わぁ~ワぁ~ワぁ~!!!と

叫びはしませんが、心の中では叫んでいました。大興奮。

入口のそばには薪ストーブ。

外の小屋で焙煎されているであろう、コーヒー豆がずらり。

一人でも、コーヒーを飲みながら新聞や本を読む時間をゆっくりすごせそうなカウンター席。

その向こう側は、とても動線がよさそうな、すっきりと整理されたキッチン。

こだわりのお砂糖やおしょうゆ、ジャムなどが陳列された棚。

つい手に取ってしまうような、面白そうな本たち。

 

目に映る何もかもに、いちいち反応してしまう(笑)

建物自体はきっと古いんでしょうけど、

きっちり隅々までお掃除されているのが分かる、清潔な店内。

席に着いただけで(まだコーヒーも頼んでいないのに)

大きく深呼吸してしまいました。

あぁ、、ここ、いいな。って。

 

でも、レイ君が私をここに連れてきたかった理由は

ただ、その佇まいが素敵だから、という理由ではありませんでした。

 

席についてメニューを見ると

そんなにたくさんのものは、ないんですね。

コーヒーと、トーストと

スコーンと本日のケーキ(2種類)。

とても簡単なメニューです。

でも、ここのパンや焼き菓子に使っている小麦粉は

オーナーさんのお父さんが育てているのだというのです。

自分のところで育てた小麦を、自分たちで製粉して使っているのだと。

 

すごいこだわり。

 

私はそう思ったけど

もしかしたら、それはお店の方にとっては"すごいこだわり"ではないのかも。

お父さんが小麦を育てている、

だったらその小麦使おう~

そんな感じなのかもしれませんし、

いや、どうしても全てを自分たちの手から作りだしたくてやっているのかも。

そこまでお話を聞くことはできなかったけれど

どちらにせよ、ほんとうの意味で一から、

心を込めて作られているパンや焼き菓子であることは

間違いないですね。

きっと小麦以外の材料も

安心安全なもの、できるだけ地元のものを、と

選んでいるのでしょう。

販売用に陳列されている食材なども

地元で作られているものがほとんどでしたから。

私はトーストを注文したのですが

自分のトーストは、写真を撮る前にパクついてしまいまして、笑

こちらはスコーンと本日のケーキ、ルバーブとチーズのタルト。

 

なんとも素朴な焼き菓子。

トーストのパンも、シンプルながらとってもおいしかったし、

こちらのお菓子もおすそ分けいただきましたが、とってもおいしかった!

チーズとルバーブの組み合わせが、とか言うよりも何よりも

生地がおいしい。

また、何度でも食べたくなる味でした。

そしてもちろん、コーヒーも。

ひとくち飲んで、

あ、おいし。つい言ってしまいました。

 

こんなお店が近所にあったらいいのに、、、

心の底からそう思いました。

時間があったら、オーナーさんとお話してみたかったなぁ。

 

この、素朴なスコーン。

きっと、何も特別な作り方ではないと思います。(たぶん、です)

でも、ただただシンプルに

おいしい小麦と、おいしい砂糖と、おいしいミルクで作る。

それだけでいいのです。

そのことを、深く深く、感じました。

いろんな材料を使って焼くお菓子も、もちろんおいしいし

どんな味になるんだろう、って

それもお菓子作りの楽しみだと思います。

でも一方で、こうしてシンプルに素材を生かす、というのもお菓子作り。

わたしが、ずっとずっとやりたいと思っていること、

こんなお菓子を焼きたい、と思っているものを

目の前に

"はい、どうぞ。"と出されたような、そんな感覚でした。

 

このカフェを後にして、

レイ君、マリさんともお別れ。

とても楽しい、長野でした!